
2050年、自分たちの街はどうなっているのだろう。人口は? 温暖化は? そして、その対策は?
流山市の中高生が、2050年の市長になったつもりで、井崎義治市長に政策を提言する「ながれやま脱炭素未来ワークショップ」が昨年12月15日、市生涯学習センターで開かれた。
この日参加した生徒は6人。ワークショップの指導は、千葉大大学院の倉阪秀史教授(環境政策論)が務めた。倉阪教授はまず初めに、50年に予測される流山市の姿を紹介。シミュレーションに使ったのは、倉阪教授らが開発した、50年の各自治体の人口や教育、介護の状況などを予測する「未来カルテ」と、二酸化炭素の予想排出量に対し、省エネによる削減量や再生可能エネルギーの発電量などを比較する「カーボンニュートラルシミュレーター」。
50年の流山は、人口は全国で減少するなか、20年と比べ4%増▼75歳以上の人口は20年の1・5倍で、高齢化が全国より早く進行する▼1人1日あたりのごみの量は減少傾向にあるが、人口増のため全体の排出量は微減にとどまる、などだった。また、対策として、自動車の脱炭素化、省エネや太陽光発電などによる建物のゼロエネルギー化などの取り組みを紹介。
生徒たちは、それぞれが感じた課題を付箋に書いて模造紙に貼り付け、他の人たちと意見を交換しながら、50年の流山にとって、どんな対策を今からとったらいいのかを考えた。そして、井崎市長に対し「カーボンニュートラル実現のため、建物のゼロエネルギー化が必要。補助金を出しては」「飲食店から出る廃油を航空機の燃料にしたらどうか」「市内の緑化を進めるにあたり、街路樹は低木の方が、管理が簡単で、費用もかからないのでは」などと提言した。
井崎市長は、一人ひとりの意見に感想を述べながら、「みんなが地球温暖化の問題を自分事としてとらえ、とてもいい学習の場になった。今回の発表が終わりでなく、温暖化防止に自分がどうかかわっていくのか、これからも考えてもらいたい」と語った。
参加した中学2年の庾知嘉さん(14)は「地球温暖化の問題は大きすぎて、自分が何からやったらいいか分からなかったが、ワークショップを通し、いろいろな選択肢を知ることができた」と、興味深そうに振り返った。
今回のワークショップは、市が主催する「市民環境講座」の一つで、NPO「温暖化防止ながれやま」が担って開催。環境講座は2月にも、親子を対象にしたイベントを予定している。
千葉大院教授 「自分の街の姿、考えて」
ワークショップで使われた「未来カルテ」「カーボンニュートラルシミュレーター」は、WEB上で無料公開されている。倉阪教授は「流山の場合は、これから人口が増えるため、同じような施策をしても、人口が減る自治体に比べ、カーボンニュートラルの達成が難しいという特徴がある。流山以外の街に住んでいる方も、ぜひ、自分の街の将来の姿を見て、考えて欲しい」という。
シミュレーターのダウンロードは、千葉大の脱炭素研究プロジェクト「OPoSuM―DSS(オポッサム)」HPから。