
野田市の県立野田看護専門学校で2月22日、第一看護学科の「決意式」があった。昨年4月から基礎を学んできた1年生34人が、看護の道へ進む決意を新たにした。これから医療現場で実践的な技術や知識を身につけ、2026年2月の国家試験合格をめざす。
戴帽式のなごり
英国の看護師フローレンス・ナイチンゲール(1820~1910年)の精神を受け継ぐ行事で、医療機関で実習を始める前に行われる。以前は「戴帽式」として実施されていたが、ナースキャップの廃止に伴い、2003年に現行の式典に改められた。
在校生や教職員、保護者らが見守るなか、ひとりずつ壇上へ。「患者さんの気持ちに寄り添い、信頼される看護師になりたい」「患者さんを笑顔にできる看護師になりたい」など、決意を述べた。
続いてキャンドルサービスが行われた。クリミヤ戦争でろうそくの明かりのもと、負傷兵を敵味方の区別なく献身的に看護したナイチンゲールに由来する。式場の照明が落とされ、学生たちはナイチンゲール像から採火されたろうそくを手に整列。看護の心構えをうたった「ナイチンゲール誓詞」を唱和した。
竹中敦子校長は「医療者になるためには、自分を律し、覚悟を持って臨むことも必要になってくる」とし、「広く健康や人の命、社会の動きにもアンテナを高くして、思慮深い看護師に成長していってほしい」とエールを送った。
母と同じ道歩む
吉川陽菜さん(19)は看護師の母親と同じ道を歩み出した。幼かったころは母のすがたを見て「夜勤などもあって大変そう」と思っていた。小学5年生で病気になったとき、担当した看護師のやさしさに触れて不安が和らいだことがきっかけで、あこがれの仕事に変わったという。小学6年生で「看護師になろう」と決心した。
宮本茉寿美さん(33)は医療事務職から転身をめざす。大学卒業後、航空会社で勤務した経験もある。看護師を志すきっかけは新型コロナだった。医療がひっ迫し、看護師が不足していることを知り「医療に貢献したい」と決意した。「患者さんが安心して治療が受けられるように、正確な知識を持った看護師になりたい」と思っている。
近年、少子化に伴う志願者の減少や、看護大学の増加などから専門学校の運営は厳しくなっている。竹中校長は「本学も入学志願者は年々減る傾向にある」としながらも、「3年で看護師になる近道。国家試験合格まで親身になって支援します」と話す。
同校は1996年に開設された。3年課程の第一看護学科と、准看護師から看護師へのステップアップをめざす2年課程の第二看護学科がある。これまでに1700人を超える人材が巣立ち、幅広い分野で看護職として活躍している。