鷹匠の技、鍛錬の日々 流山の伊藤さん一家

 タカやハヤブサを操る鷹匠の技を身につけ、大会やイベント出演などで活躍している家族がいる。流山市でペットショップを営む伊藤京介さん(50)、朋子さん(43)夫妻と3人の子どもたちだ。ペアになった鳥たちと真剣に向き合って訓練を重ね、信頼関係を築いてきた子どもたちの技術は驚くほど高い。 京介さんが趣味でタカを飼育し、鷹匠の訓練をはじめてから約20年になる。猛禽類を中心に扱うペットショップ「鷹の庵」を開店したのは6年前。南流山中3年の長女風音さん(15)、同1年の長男尊さん(12)、南流山小4年の次男斎生さん(10)のそばにはいつも鳥たちがいた。
 タカやハヤブサなどを操つる技を競う「フライトフェスタ」が毎年3月、野田市で開催される。風音さんは小学3年のとき、京介さんが出場したフライトフェスタを見学し、「私も出てみたい」と思った。
 京介さんの熱心な指導もあり、上達は早かった。小学4年のときにタカの一種ハリスホークを操り、コース内の障害物をクリアしてタイムを競う「アジリティの部」に初出場。中学1年だった昨年の同部門で、念願の初優勝を果たした。
 ことしはアジリティの部と、獲物に見立てたルアーを使ってハヤブサを操る「ルアーパスの部」の2部門に出場。ハヤブサの一種ジアセイカーの「雪花」と挑んだルアーパスの部で優勝し、連覇を狙ったアジリティの部は3位だった。
 風音さんの二冠を阻止したのが尊さんだ。ハリスホークの「玄米」とペアを組み、小学6年生でアジリティの部で優勝した。尊さんは「お姉ちゃんの方がレベルはまだ上。早く追い越したい」と話す。
 大会ではライバルとして競い合う二人を、京介さんはどうみているのか。「風音は努力の人。わが子ながらすごいと思う。尊はセンスの人。ただ、それに甘んじて手を抜くところがある。努力することの大切さを風音から学んでほしい」
 毎朝、近くの空き地などでハリスホークを飛ばしてから登校し、下校後も日没まで訓練を積む。親が朝起きられないときは、子どもたちだけで訓練に出かけることもあるという。
 風音さんには伝えたい思いがある。「タカやハヤブサなどは本来、臆病な生き物。正しい飼い方や接し方を発信することで、怖いとか、危険だというイメージを変えていきたい」
 新聞やテレビ、ネットメディアで「若き鷹匠」「天才きょうだい」などと紹介され、各種イベントへの出演などで広く知られるようになった。「天狗になることなく、謙虚にタカと向き合ってもらいたい」。京介さんの願いだ。
 猛暑日が続いたこの夏も訓練に打ち込んだ。9月24日に柏市の「道の駅しょうなん」で、出張鷹匠体験と猛禽フライトショー(一部有料、見学は無料)を開催する。3人の子どもたちが中心となって、鍛錬の成果を披露する。

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