(キネマの世界)恋愛裁判

© 2025「恋愛裁判」製作委員会

 「アイドルの恋は罪なのか?」を主題に、恋愛したことによって所属事務所に訴えられたアイドルの物語を痛切なリアリティで描いています。時に熱狂と興奮を巻き起こす華やかな存在であるアイドルは、裏では厳しいルールに縛られ、人間らしい感情を禁じられることも多々あります。アイドルの在り方や人権について問い直されている一方で、アイドルブームの熱が急送に加速していく日本の現代社会。本作は、アイドルが裁判にかけられる物語を通して、ひとりの若い女性が孤独の中で自己を取り戻していく姿を映し出します。

 10年かけて構想された本作の主演に大抜擢されたのは、国民的アイドルとして絶大な人気を誇った元日向坂46の齋藤京子。実際にアイドルとして活動していた期間が、本作の役作りに直接つながり、アイドルの内面的な葛藤を見事に体現しました。深田監督は「彼女の存在感さえあれば伝わる」と考え、企画段階の脚本に書かれていた長台詞を大幅に削ったそう。近年役者として活動の幅を広げている彼女の、淡々とした演技にも注目です。

 実際の裁判をもとに製作され、カンヌ国際映画祭に正式出品された気鋭の問題作を、ぜひ当館でお楽しみください!      
(松井智大)

深田晃司監督/日本映画/124分

キネマ旬報シアター柏で、3/28㈯~4/10㈮上映予定

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