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今回ご紹介するのは台湾から届いた心温まる作品、『本日公休』です。
舞台は台中にある昔ながらの理髪店。店主のアールイさんは今日も一人店に立ち、常連客を相手にハサミの音を響かせます。ある日、遠い町から通ってくれていた常連客の“先生”が病の床に伏したことを知ったアールイさんは、店に「本日公休」の札を掲げて、最後の散髪のためにその町に向かうのですが……。
フー・ティエンユー監督が自身の母親をモデルに書き上げたシナリオを元に、台中にある実家の理髪店で撮影を敢行、3年の月日をかけて完成させました。
レトロなお店で働くアールイさんを軸に、常連客との何気ない会話で進む前半はくすっと笑える日常を描き出し、先生に会いに行く後半はさながらロードムービー。家族の間で揺れる感情や、老いを受け入れていく気持ち、新たな希望を見出す過程をも繊細に映し出しています。
プロデュースは、エドワード・ヤン監督の『ヤンヤン 夏の想い出』(00)への主演や、ホウ・シャオシェン監督の『悲情城市』(89)、『恋恋風塵』(87)の共同脚本で知られる台湾ニューシネマの重鎮ウー・ニェンチェンが担当。久しぶりに心から観てよかったと思える作品です。 (増田 玲子)
9/20(金)~キネマ旬報シアター柏で上映