
身長154㌢。中学生の女子砲丸投げ選手の中でも小柄だ。松戸市立小金南中3年の丹千遙さん。8月20日に沖縄県であった全日本中学陸上競技選手権で、自己新記録をマーク、自身初の全国優勝を果たした。
大会では、2.721㌔の砲丸を3回ずつ投げ、上位8人が決勝に進み、さらに3投する。丹さんの1投目は13.50㍍。2、3投目は記録が伸びず、7位で決勝へ。「決勝進出のラインが予想より上がり、ちょっと焦った」
気持ちを切り替え、1投ごとに自分の動きを、陸上部顧問の橋本大和教諭と確認し、修正していった。最後の6投目。やるべきことを心の中で反復した後、サークルに入った。心は無になっていた。
「ポンッ」
砲丸が手から離れた瞬間、これまでに感じたことのない、気持ちのいい感触が手の平に残った。14.37㍍。一気に1位に躍り出て、表彰台の真ん中に立った。
「表彰台では『本当に優勝?』と実感が沸かなかったけど、千葉の選手団の場所へ戻り、みんなに『おめでとう』と言われて、やっと実感できた」
バネ活かし記録伸ばす
小柄なのに、なぜ遠くへ飛ばせるのか。橋本教諭は「瞬発力があり、体を器用に動かすこともできる。そして、身長の差を補うバネがすごい」と解説する。
姉も陸上で砲丸投げをしていた。小学生のころ、その動画を見て「めちゃくちゃかっこいい」とあこがれた。中学校に入り、砲丸投げをしたくて、陸上部に入った。橋本教諭の勧めで体づくりのため、砲丸投げだけでなく、200㍍、100㍍ハードル、走高跳びの4種競技にも取り組んだ。今夏、県中学総体の4種競技は肉離れで棄権したが、その前にあった通信県大会の砲丸投げでは、標準記録を突破。全中へと進んだ。
砲丸投げの魅力について「努力すれば、どこまでも記録が伸びる。終わりがない」と話す。来年は高校生。「走るのが得意なので、助走があるやり投げもしたいし、7種競技もやりたい。4種でも楽しいのだから、もっといろいろな種目ができる7種だと、もっともっと楽しい」と笑顔をみせる。さらなる可能性を追い求める。
