人間国宝の狂言師・野村万作。芸歴90年にして今なお現役で狂言の道を歩み続ける万作の過去と現在、そして彼が長年かけて磨き上げた珠玉の狂言「川上」を豊かな映像表現でスクリーンに刻む至極のドキュメンタリー映画が誕生しました。
狂言は６５０年以上の歴史を持つ日本の伝統芸能で、能と同じく日本のもっとも古い演劇のひとつです。狂言師という専門の役者は自分の声や身体を駆使して、日常的な出来事を大らかで洗練された笑いと共に表現します。
映画『六つの顔』では、万作が２０２３年に文化勲章を受章した際に行われた受賞記念講演の一日に密着しながら、万作自身の言葉や、息子・野村萬斎や孫・野村裕基など次世代の狂言師たちと舞台に立つ姿などによって、万作の歩んできた軌跡と現在を浮かび上がらせます。
本作の監督を務めた犬童一心は、15年間、能楽堂へ通っている大の狂言好き。また、万作の過去を振り返るシーンで使用されたアニメーションは山村浩二、ナレーションはオダギリジョーが担当しています。今なお高みを目指して芸を磨き続ける野村万作と、監督の狂言への愛、そして日本映画界を代表する製作陣によって誕生した作品を、ぜひ当館でお楽しみください。 （松井 智大）
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